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まず、生物農薬とはどんな農薬のことを言うのでしょうか。


生物農薬とは、微生物や昆虫などを生きた状態で製品化したものです。
普通は、天敵農薬とか微生物農薬という言い方をします。


天敵農薬とは、ある特定の害虫を食べてしまったり、寄生して殺してしまう力をもった虫を製品にしたもの。


微生物農薬とは、ある特定の害虫に感染して病気にさせてしまう菌やカビ、ある特定の植物に感染するカビや菌による病気を防ぐために使われるカビや菌を製品にしたものを言います。


基本的には有機JAS法上、農薬としてカウントされない農薬という位置づけです。
(すこしややこしいのでこの問題はまたべつのところで)


昭和45 年に初の天敵農薬としてクワコナカイガラヤドリコバチが農薬として登録されましたが、昭和の終わりまでの間、生物農薬開発に大きな動きはありませんでした。


平成に入ると、次々と新しい天敵農薬や微生物農薬が試験され、農薬登録されるようになってきます。
急に生物農薬への関心が高まったのは、国際的な流れを受けて日本も環境保全型農業技術に対する対応が迫られたからです。


平成27年までに登録された生物農薬で、天敵農薬、微生物農薬それぞれの売上高ベスト3は以下のとおりです。


天敵殺虫剤(写真は天敵がハダニを食べているところです)

1位スワルスキーカブリダニ→コナジラミ、アザミウマ 
2位チリカブリダニ→ハダニ 
3位ミヤコカブリダニ→ハダニ


微生物殺虫・殺菌剤

1位バチルス・チューリンゲンシスという昆虫病原細菌を利用した殺虫剤(通称BT剤) 
2位バチルスズブチリスという細菌を利用した殺菌剤
3位タラロマイセスフラバスという糸状菌を利用した水稲種子消毒剤


生物農薬全体の売上金額は約20億円でだいたい横ばい(h17~)
日本の農薬市場は3300億円ですので、生物農薬の市場は、まだ全体の0.6%に過ぎないです。