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日本の農業は鍬を使った農業が基本でした。


手鍬だから基本的に土を深く耕すことはできません。
土の表層をごちょごちょするだけです。浅耕栽培といいます。


一方、ヨーロッパでは家畜を使ってスキで深く起こす深耕栽培が中心でした。
明治以降、近代化の中で政府はヨーロッパ式「近代農法」の深耕栽培を推奨しました。
その考え方は、家畜がトラクターに変わりましたが今なお、基本的な考え方になっています。


しかしながら浅く耕す農業は日本の風土にあったやり方だったのではないかと考えられています。


山林や里山に囲まれた日本では、草や落葉などの有機物が身近で手に入り、それは主に刈敷、敷草として利用されていました。敷草は、生育初期の根を直射日光から守り、守られた根は土を耕し、微生物を増やしました。また、土壌流亡を防ぎ、雑草を抑制していました。

ヨーロッパでは日本ほど身近に有機物が手に入らなかった。
だから深く耕すことで雑草種子を埋没させ発芽を抑制させる、土壌の物理性を無理やりよくする必要がありました。そして、この方法は化学肥料との相性も良かった。


身近な草を利用する日本では、化学肥料を利用すれば、雑草も増えて大変なことになります。


今、自然農法などと言われて特殊な栽培技術として考えられている農法は、実は巧みな土の表層管理技術であり、日本の伝統的な農法だったとも言えます。