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マメ科の緑肥、ヘアリーベッチを畑にまくと、根の根粒菌による窒素固定という作用によって土が肥えます。ヘアリーベッチは、秋まきのマメ科の中では最も生育旺盛です。
 
 
逆に言えば、緑肥としてヘアリーベッチを利用した場合は、土に肥料分が供給された分を加味して、施肥量を減らさないと、窒素が考えているよりも多く土に供給されてしまいます。
 
 
緑肥由来でも化学肥料由来でも窒素は窒素なので、窒素過多は植物を軟弱に育て、病気や害虫の原因、つるボケ(茎葉は大きくなるが実がならない現象)、倒伏(茎が弱く風などで倒れる)の原因になってしまします。
 
 
ヘアリーベッチを畑にまいたときにどれくらいの窒素量が供給されるでしょうか。
 
 
まず、10aあたりのヘアリーベッチの生重量(植物全体の重量)はどれくらいでしょうか?
 
 
およそ5,000kg/10aくらいあります。
 
 
ヘアリーベッチによって土中にどれくらいの窒素が投入されるでしょうか?
ヘアリーベッチの窒素含有量は3.5%(乾燥重量%で)くらいです。
80%が水分と仮定すると土中窒素投入量は35kgN/10aくらいになります。
 
 
ヘアリーベッチのC/N比は10-12%と分解しやすいですが、少しややこしいのは、このヘアリーベッチの窒素35kgN/10aすべてが農作物が利用できるわけではないというところです。
 
 
土の中には様々な有機物があり、それらを分解するのにもまた窒素が必要です。
例えば、稲わらをすき込むと、稲わらは土中窒素を使って一年で60%~80%分解してしまいます。
それだけ窒素を利用するということ。
 
 
このように、土の中では窒素の放出と取り込みが同時に行われており、どれくらい農作物が利用できるのかはその土地にどんな有機物がどれだけ入っているかによって変わります。
結局、施肥量は控えめにするにしても、明確ではないのでやはり作物の様子を見て追肥で追っかけた方がいいかもしれません。
 
それには植物の生育診断・栄養診断のようなことが必要になります。